- 粕谷一希 著
- 〈解説〉川本三郎
- 四六変上製 432頁 口絵2頁
ISBN-13: 9784894349889
刊行日: 2014/9
出版とは、「ひと」がつくる手工業である。全巻完結!
【推薦】
塩野七生(作家)
半藤一利(作家)
陣内秀信(建築史家)
福原義春(資生堂名誉会長)
〈月報〉石川九楊・今橋映子・陣内秀信・高橋英夫・田中健五・中村良夫・半藤一利・藤原作弥
〈題字〉石川九楊
目次
Ⅰ 出版とは何か
●編集・出版論
総合雑誌/運命としての編集者稼業/老雄ショーン氏、編集の真髄を語る/
出版の未来と総合雑誌の役割〈インタビュー〉/総合雑誌論/
ジャーナリズムとは何か――三冊の本から
●編集者論
菊池寛/羽仁もと子/嶋中雄作/雨宮庸蔵/臼井吉見
●出版社と書店
筑摩書房というドラマ――ひとつの友人共同体/京都大学学術出版会――学術にこだわる/
小沢書店――詩と批評の世界/創文社――書籍の品位を支えてきた人 歴史・思想・学問/
藤原書店――ラディカルに問い続ける/思潮社――詩壇の守護神/
青土社――詩と精神の青春拠点/中央公論社/米子・今井書店――伝統のなかの市民文化
Ⅱ さまざまな回想
●時代の中で
一保守主義者として/野上弥生子の想い出/安仁さんの生き方/綱淵謙錠/澤地久枝/
塙嘉彦君の想い出/塩野七生さん/石川九楊君のこと/八木俊樹さんのこと
●わが回想
遠い記憶/真田幸男先生/太宰治か出隆か――戦後日本の虚無の夢/『展望』という雑誌/
封印した詩人たち/E・H・カー『危機の二十年』の衝撃/社会科学の巨匠たち/
失語症から雑誌創刊まで
エピローグに代えて
わが青春の前景
〈解説〉生涯一編集者を貫いた粕谷一希さん――川本三郎
初出一覧
粕谷一希 略年譜(1930-2014)
全巻人名索引
関連情報
編集者とは筆者の伴走者であると同時に、確たる思想を持った言論人でなければならない。思想とは何か。粕谷さんは思想には三つの大きな命題があるという。
人生いかに生きるべきかを問うこと。社会がどうあるべきかを問うこと。そして三つめは、世界にはどういう意味があるのかを問うこと。
思想であり、哲学、倫理と言ってもいいだろう。粕谷さんは敗戦後の混乱期、哲学少年になったと回想しているが、自身、編集者である前に、何よりもまず人間であろうとしたのだろう。『中央公論社と私』のなかでは、言論とは突きつめて考えれば人格である、とも言っている。粕谷さんが、戦後の言論界で大きな力を持った革新思想に終始なじまなかったのは、それがソ連社会を理想と見ていたからであり、「共産主義と人格の尊厳は両立しない」(『作家が死ぬと時代が変わる』)と確信していたからに他ならない。粕谷さんにとって「人間」「ひと」「人格」が何よりも重要だった。
(川本三郎氏「解説」より)
人生いかに生きるべきかを問うこと。社会がどうあるべきかを問うこと。そして三つめは、世界にはどういう意味があるのかを問うこと。
思想であり、哲学、倫理と言ってもいいだろう。粕谷さんは敗戦後の混乱期、哲学少年になったと回想しているが、自身、編集者である前に、何よりもまず人間であろうとしたのだろう。『中央公論社と私』のなかでは、言論とは突きつめて考えれば人格である、とも言っている。粕谷さんが、戦後の言論界で大きな力を持った革新思想に終始なじまなかったのは、それがソ連社会を理想と見ていたからであり、「共産主義と人格の尊厳は両立しない」(『作家が死ぬと時代が変わる』)と確信していたからに他ならない。粕谷さんにとって「人間」「ひと」「人格」が何よりも重要だった。
(川本三郎氏「解説」より)
著者紹介
●粕谷一希(かすや・かずき)
1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業。1955年、中央公論社に入社、1967年より『中央公論』編集長を務める。1978年、中央公論社退社。評論家として文筆生活に入る。1986年、東京都文化振興会発行の季刊誌『東京人』創刊とともに、編集長に就任。他に『外交フォーラム』創刊など。1987年、都市出版(株)設立、代表取締役社長となる。2014年5月30日逝去。
著書に『河合栄治郎――闘う自由主義者とその系譜』(日本経済新聞社出版局)、『二十歳にして心朽ちたり――遠藤麟一朗と「世代」の人々』『面白きこともなき世を面白く――高杉晋作遊記』(以上新潮社)、『鎮魂 吉田満とその時代』(文春新書)、『編集とは何か』(共著)『反時代的思索者――唐木順三とその周辺』『戦後思潮――知識人たちの肖像』『内藤湖南への旅』『〈座談〉書物への愛』『歴史をどう見るか』『生きる言葉――名編集者の書棚から』(以上藤原書店)、『作家が死ぬと時代が変わる』(日本経済新聞社)、『中央公論社と私』(文藝春秋)など。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業。1955年、中央公論社に入社、1967年より『中央公論』編集長を務める。1978年、中央公論社退社。評論家として文筆生活に入る。1986年、東京都文化振興会発行の季刊誌『東京人』創刊とともに、編集長に就任。他に『外交フォーラム』創刊など。1987年、都市出版(株)設立、代表取締役社長となる。2014年5月30日逝去。
著書に『河合栄治郎――闘う自由主義者とその系譜』(日本経済新聞社出版局)、『二十歳にして心朽ちたり――遠藤麟一朗と「世代」の人々』『面白きこともなき世を面白く――高杉晋作遊記』(以上新潮社)、『鎮魂 吉田満とその時代』(文春新書)、『編集とは何か』(共著)『反時代的思索者――唐木順三とその周辺』『戦後思潮――知識人たちの肖像』『内藤湖南への旅』『〈座談〉書物への愛』『歴史をどう見るか』『生きる言葉――名編集者の書棚から』(以上藤原書店)、『作家が死ぬと時代が変わる』(日本経済新聞社)、『中央公論社と私』(文藝春秋)など。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです