- ピエール・ブルデュー&ロイック・ヴァカン ほか著
- L・ヴァカン 編
水島和則 訳 - 四六上製 344頁
ISBN-13: 9784894346628
刊行日: 2009/1
「国民国家論」とは一線を画す、ブルデューの国家論。
今日の政治体制に、「民主主義」は存在するのか?民主主義の構成要素として自明視される「国家」「政党」「イデオロギー対立」「選挙」「世論調査」「メディア」「学校教育」の概念そのものを問い直し、冷戦後、ネオリベラリズム台頭後の、今日の政治的閉塞を解明し、これを打破するための“最強の武器”としてのブルデュー社会学!
目次
序章 象徴権力と民主主義の実践 ロイック・ヴァカン
第1章 ブルデューと民主主義政治についての指針 ロイック・ヴァカン
ピエール・ブルデュー個人の政治 / ブルデューの研究における民主主義政治 / ブルデューの理論が民主主義的闘争に対して有する意味
第2章 国王の家から国家理性へ――官僚制界の生成についてのひとつのモデル ピエール・ブルデュー
王朝国家の特殊性 / 王朝国家に特定の矛盾 / 王朝の寡頭政治と新しい再生産様式 / 官僚制化の過程の仕組み / 委任の回路と行政の界の生成
第3章 公職という神秘――特殊意志から一般意志へ ピエール・ブルデュー
意見の集合的な精緻化と意見の統計的な集計 / 被支配者に不利に作用する票の論理 / 集合的異議申し立ての二律背反 / 対面しての対話と真の民主主義
第4章 責任をともなう学問――ブルデューの政治参加について フランク・プーポー&ティエリー・ディスポロ
植民地戦争と革命的意識 / 教育と支配の正当化/政治の価値を剥奪する科学への抵抗 / 政治的幻滅と理性の現実政治 / ヨーロッパの水準で闘争を行う――集合的知識人の再創造 / 社会運動の支援――1995年12月からレゾン・ダジールへ / メディア、 「保守主義革命」 の奉仕者
第5章 アンシャン・レジーム期の無記名投票――選挙という実践を二重に歴史化する オリヴィエ・クリスタン
集合的意思決定の歴史に向けて / 社会再生産と権力の継承 / 一つの声によって語る / 区別と離脱 / 結論――団体を構築する
第6章 「国民に語らせる」 ――世論調査の社会的用法と、調査へのさまざまな反応について パトリック・シャンパーニュ
形式的民主主義と実質的民主主義 / 世論は存在するのか / フランスで世論調査が当初は拒絶された理由 / 国民に語らせる / 堂々めぐりの論争 / 拡大するマーケット / 政治批判と科学的批判
第7章 「国家貴族」 の統治における象徴権力 ロイック・ヴァカン
民主主義の時代における教育と支配 / 構造と行為主体の二元論を解決する / 分類と列聖化 / 構造的相同性の効果としての権力
第8章 チェコスロバキア政治界の形成と解体 ジル・エイヤール
ポスト共産主義政治の理論に向けて / 円卓会議の交渉と1990年選挙 / 「右」 と 「左」 の形成――イデオロギー群
第9章 帝国主義的理性の狡知 ピエール・ブルデュー&ロイック・ヴァカン
文化帝国主義――地球規模となった決まり文句たち / 「専門用語」 の危険な効果 / 脱政治化、脱歴史化、誤った普遍化 / 二分法的 「人種」 概念の無批判な適用 / アメリカ合衆国がもつ聖別化の権力と文化輸入者の共犯性 / 出版のマーケティングによる学問への介入 / アメリカの学問カテゴリーの世界市場に対する覇権 / 「アンダークラス」 という架空の概念 / 「運び屋」 たちの生態と文化的支配の逆説
民主主義・政治に関するピエール・ブルデューの主要著作
原注
訳者解説
著者・編者紹介