- ピエール・ブルデュー 著
- 加藤晴久 訳
- 四六上製 296頁
ISBN-13: 9784894347625
刊行日: 2010/10
ブルデューは、なぜ最後に「科学」を論じたのか?
商業的利害と相対主義によって危機に瀕する「科学」と「真理」。
トーマス・クーンの『科学革命の構造』以降、その相対性、複数性が強調され、人文科学、社会科学、自然科学を問わず、軽視され、否定されてきた「真理」の唯一性。
今日の学問的潮流に抗して、「科学」と「真理」を真正面から論じる渾身の講義!
目次
まえがき
序 論
第Ⅰ章 議論の現状
科学社会学のむずかしさ / 科学社会学の社会学を実践する際の視座 / 科学に関する諸科学の界の特性 / 「新」 科学社会学 / 界としての科学社会学
1 魅入られた見方
研究者と科学の世界 / マートン理解についての自己批判 / マートン派科学社会学の限界
2 通常科学と科学革命
パラダイム / 本質的緊張 / 時代のムード
3 ストロング・プログラム
4 しっかり守られた公然の秘密
ふたつのレトリック / 「冗談はさておいて」 / シニカルな見方 / 『実験室の生活』 批判 / 『フランスのパストゥール化』 批判 / 人間と非人間 / 結 び
第Ⅱ章 特殊な世界
構造をもった諸力の場 / 闘争の場 / 実験室=界 / 誤読を正す
1 科学者の 「メチエ」
科学的実践の真実 / 科学的実践の特殊性 / ヒトとなった科学界 / 科学ハビトゥスのヴァリアシオン / ド・ジェンヌとコーアン=タヌジ
2 自律性と入界金
界概念は迷妄を打破する / 界の相対的自律性 / 数理化の効果 / 専門科学の成立 / 入界金 / 利害からの超越=無私 / 科学的理性の根元としての界
3 科学資本 ――その諸形態と分布
科学資本の二形態 / 界の構造 ――位置と位置取り
4 規則に従った闘争
科学革命 / 専 門 / ハイブリッド化 / 分子生物学の成立 / 実在の審判 / 巨大な集合的装置
5 歴史と真理
科学的事実 / 脱特殊化=普遍化 / 国際化 / 実在論的合理主義 / カント批判 / 科学的対象と科学的事実はいかにして構築されるか / ポアンカレ、 カルナップ、 クーン / ヴィトゲンシュタイン / 真理はいかにして構築されるか
第Ⅲ章 社会科学はなぜ自己を対象化しなければならないのか
1 対象化する主体を対象化する
ナルシス的反省性と改良主義的反省性 / 認識論的慎重さの効果
2 自己分析のための素描
視点の問題 / 社会科学の界における位置 / ブルデューの位置取り / アメリカ社会学との関係と第三の道 / 哲学との関係 / 社会学の界と社会科学の界の現状 / 社会的出自と分裂ハビトゥス / 社会分析と集合的な反射的反省性
結 論
訳者あとがき
参考文献
人名索引