- 小倉孝誠 編
- 小倉孝誠/佐藤正年/髙井奈緒/高橋愛/田中琢三/寺田寅彦/寺田光徳/中村翠/林田愛/福田美雪/宮川朗子/吉田典子
- 四六変上製 624頁
ISBN-13: 9784865784541
刊行日: 2025/3
ゾラはおもしろい!
“近代化の中の人間”を描き尽くしたゾラの魅力!
シリーズ完結!
自然主義の世界的潮流の中心にあった、フランスの人気作家ゾラ(1840-1902)。
日本ではさまざまな西洋文化の流入の中で十分には伝えられてこなかったが、近代化のあらゆる問題を見抜いたゾラの、人と作品世界の全貌を、この1冊で、存分に!!
目次
〈序〉読まれつづけるゾラ
Ⅰ 作品紹介
1 初期小説
『クロードの告白』/『テレーズ・ラカン』/『マドレーヌ・フェラ』
2 『ルーゴン゠マッカール叢書』
『ルーゴン家の繁栄』/『獲物の分け前』/『パリの胃袋』/『プラッサンの征服』/『ムーレ神父のあやまち』/『ウジェーヌ・ルーゴン閣下』/『居酒屋』/『愛の一ページ』/『ナナ』/『ごった煮』/『ボヌール・デ・ダム百貨店』/『生きる歓び』/『ジェルミナール』/『制作』/『大地』/『夢』/『獣人』/『金』/『壊滅』/『パスカル博士』
3 『三都市』
『ルルド』/『ローマ』/『パリ』
4 『四福音書』
『豊饒/『労働』/『真実』/『正義』
5 詩
6 中・短編
『ニノンへのコント』/『ビュルル大尉』/『ナイス・ミクラン』
7 オペラの台本
『メシドール』/『嵐』
8 戯曲
『ラブルダン家の相続者たち』/『薔薇のつぼみ』
9 評論
『わが憎悪』/『わがサロン評』/『エドゥアール・マネ、伝記批評研究』/『実験小説論』/『自然主義の小説家たち』/『真実は前進する』
10 書簡集
Ⅱ 作家活動とそのテーマ
1 私生活
家庭生活/自転車/写真/住居/旅とヴァカンス/動物好き
2 作家活動
演劇/オペラの台本/詩/社会時評/小説/美術批評/文学批評
3 作家としての地位
出版社との契約/ゾラ作品の発行部数/ゾラの風刺画/パンテオン/文学と金銭
4 美学と創作スタイル
執筆スタイル/草稿/描写
5 想像世界の要素
起源/樹木のイメージ/神話と想像力/庭と庭園/燃焼と運動/物語空間の構築
6 近代性の装置
機械/群衆/証券取引所と金融市場/炭鉱/鉄道/商業空間/パリ/万国博覧会/モード
7 人物の類型
医者/子供/司祭/少女/使用人/娼婦/独身者/民衆
8 生の諸相
教育/結婚/死/出産/親密性/ペシミスム/労働
9 身体と感覚
視線/身体/性/においと嗅覚/病気/欲望
10 逸脱
遺伝/狂気/神経症/犯罪
Ⅲ ゾラの全体性――芸術・社会・歴史・科学
1 文学の制度
アカデミー・フランセーズ/インタビュー/検閲/ジャーナリズム/著作権/文芸家協会
2 文学潮流
自然主義/写実主義/象徴主義/ロマン主義
3 諸芸術との関わり
音楽/絵画/ゾラ作品の映画化
4 社会思想との関わり
アナーキズム/カトリシズム/実証主義/社会主義/進歩思想/反教権主義/ユートピア
5 歴史と政治
革命/第三共和政/第二帝政/ドレフュス事件/パリ・コミューン/反ユダヤ主義/普仏戦争
6 科学思想への関心
遺伝理論/実験医学/精神医学/生理学/ダーウィニズムと社会進化論(社会ダーウィニズム)/犯罪人類学
Ⅳ 人名・地名事典
1 家族
ゾラ、アレクサンドリーヌ/ゾラ、エミリー/ゾラ、フランソワ/ロズロ、ジャンヌ
2 少年・青年期からの友人
ヴァラブレーグ、アントニー/ソラリ、フィリップ/バイ、ジャン゠バティスタン/ルー、マリウス
3 自然主義文学の仲間たち
アレクシ、ポール/アントワーヌ、アンドレ/エニック、レオン/セアール、アンリ/ドーデ、アルフォンス/モーパッサン、ギ・ド/ユイスマンス、ジョリス゠カルル
4 先輩作家たち
ゴンクール兄弟/サンド、ジョルジュ/サント゠ブーヴ、シャルル゠オーギュスタン/スタンダール/バルザック、オノレ・ド/フロベール、ギュスターヴ/ミュッセ、アルフレッド・ド/ユゴー、ヴィクトル
5 同時代の作家たち
アダン、ポール/アレヴィ、リュドヴィック/ヴァレス、ジュール/クラデル、レオン/シャンフルーリ、ジュール゠ユッソン/デプレ、ルイ/デュマ・フィス、アレクサンドル/デュランティ、エドモン/フランス、アナトール/ブールジェ、ポール/マラルメ、ステファヌ/ミルボー、オクターヴ/ユレ、ジュール/ル・ブロン、モーリス/ロニー、ジョゼフ゠アンリ
6 思想家と科学者
ショーペンハウアー、アルトゥル/ダーウィン、チャールズ/デシャネル、エミール/テーヌ、イポリット/トゥールーズ、エドゥアール/ベルナール、クロード/ミシュレ、ジュール/リトレ、エミール/リュカ、プロスペル
7 芸術家
ヴァーグナー、リヒァルト/オッフェンバック、ジャック/クールベ、ギュスターヴ/ジュルダン、フランツ/セザンヌ、ポール/バジール、フレデリック/ビュスナック、ウィリアム/ファンタン゠ラトゥール、アンリ/ブリュノ、アルフレッド/マネ、エドゥアール/モネ、クロード/ロダン、オーギュスト
8 ゾラの批判者 バルベー・ドールヴィイ、ジュール/ブリュンティエール、フェルディナン/ルメートル、ジュール/ユルバック、ルイ
9 出版人
アシェット、ルイ/シャルパンティエ、ジョルジュ/ファスケル、ウジェーヌ/ラクロワ、アルベール
10 外国の作家、ジャーナリスト
ヴァン・サンテン・コルフ、ジャック/ヴィゼテリー、アーネスト/ヴィゼテリー、ヘンリー/ヴェルガ、ジョヴァンニ/スタシュレーヴィチ、ミハイル/ストリンドベリ、アウグスト/ツルゲーネフ、イヴァン/ムア、ジョージ/ルモニエ、カミーユ
11 ドレフュス事件関連
クレマンソー、ジョルジュ/ドレフュス、アルフレッド/ピカール、ジョルジュ/ベルナール゠ラザール/ラボリ、フェルナン
12 歴史上の人物
オスマン、ジョルジュ゠ウジェーヌ/ガンベッタ、レオン/ティエール、アドルフ/ナポレオン三世/フォール、フェリックス
13 ゾラと縁の深い町
エクス/ボルドー/メダン/パリ/レスタック/ルルド/ロワイヤン
Ⅴ ゾラと日本
明治期の日本人はゾラをどう見たか/翻案・翻訳の歴史/ゾラ的小説の出現/花袋以後/中村光夫の『風俗小説論』(1950)/ゾラをとおして見る日本の自然主義/自然主義の射程/現代日本におけるゾラ研究
ゾラ略年譜(1840-1902)/編者あとがき/文献リスト
Ⅰ 作品紹介
1 初期小説
『クロードの告白』/『テレーズ・ラカン』/『マドレーヌ・フェラ』
2 『ルーゴン゠マッカール叢書』
『ルーゴン家の繁栄』/『獲物の分け前』/『パリの胃袋』/『プラッサンの征服』/『ムーレ神父のあやまち』/『ウジェーヌ・ルーゴン閣下』/『居酒屋』/『愛の一ページ』/『ナナ』/『ごった煮』/『ボヌール・デ・ダム百貨店』/『生きる歓び』/『ジェルミナール』/『制作』/『大地』/『夢』/『獣人』/『金』/『壊滅』/『パスカル博士』
3 『三都市』
『ルルド』/『ローマ』/『パリ』
4 『四福音書』
『豊饒/『労働』/『真実』/『正義』
5 詩
6 中・短編
『ニノンへのコント』/『ビュルル大尉』/『ナイス・ミクラン』
7 オペラの台本
『メシドール』/『嵐』
8 戯曲
『ラブルダン家の相続者たち』/『薔薇のつぼみ』
9 評論
『わが憎悪』/『わがサロン評』/『エドゥアール・マネ、伝記批評研究』/『実験小説論』/『自然主義の小説家たち』/『真実は前進する』
10 書簡集
Ⅱ 作家活動とそのテーマ
1 私生活
家庭生活/自転車/写真/住居/旅とヴァカンス/動物好き
2 作家活動
演劇/オペラの台本/詩/社会時評/小説/美術批評/文学批評
3 作家としての地位
出版社との契約/ゾラ作品の発行部数/ゾラの風刺画/パンテオン/文学と金銭
4 美学と創作スタイル
執筆スタイル/草稿/描写
5 想像世界の要素
起源/樹木のイメージ/神話と想像力/庭と庭園/燃焼と運動/物語空間の構築
6 近代性の装置
機械/群衆/証券取引所と金融市場/炭鉱/鉄道/商業空間/パリ/万国博覧会/モード
7 人物の類型
医者/子供/司祭/少女/使用人/娼婦/独身者/民衆
8 生の諸相
教育/結婚/死/出産/親密性/ペシミスム/労働
9 身体と感覚
視線/身体/性/においと嗅覚/病気/欲望
10 逸脱
遺伝/狂気/神経症/犯罪
Ⅲ ゾラの全体性――芸術・社会・歴史・科学
1 文学の制度
アカデミー・フランセーズ/インタビュー/検閲/ジャーナリズム/著作権/文芸家協会
2 文学潮流
自然主義/写実主義/象徴主義/ロマン主義
3 諸芸術との関わり
音楽/絵画/ゾラ作品の映画化
4 社会思想との関わり
アナーキズム/カトリシズム/実証主義/社会主義/進歩思想/反教権主義/ユートピア
5 歴史と政治
革命/第三共和政/第二帝政/ドレフュス事件/パリ・コミューン/反ユダヤ主義/普仏戦争
6 科学思想への関心
遺伝理論/実験医学/精神医学/生理学/ダーウィニズムと社会進化論(社会ダーウィニズム)/犯罪人類学
Ⅳ 人名・地名事典
1 家族
ゾラ、アレクサンドリーヌ/ゾラ、エミリー/ゾラ、フランソワ/ロズロ、ジャンヌ
2 少年・青年期からの友人
ヴァラブレーグ、アントニー/ソラリ、フィリップ/バイ、ジャン゠バティスタン/ルー、マリウス
3 自然主義文学の仲間たち
アレクシ、ポール/アントワーヌ、アンドレ/エニック、レオン/セアール、アンリ/ドーデ、アルフォンス/モーパッサン、ギ・ド/ユイスマンス、ジョリス゠カルル
4 先輩作家たち
ゴンクール兄弟/サンド、ジョルジュ/サント゠ブーヴ、シャルル゠オーギュスタン/スタンダール/バルザック、オノレ・ド/フロベール、ギュスターヴ/ミュッセ、アルフレッド・ド/ユゴー、ヴィクトル
5 同時代の作家たち
アダン、ポール/アレヴィ、リュドヴィック/ヴァレス、ジュール/クラデル、レオン/シャンフルーリ、ジュール゠ユッソン/デプレ、ルイ/デュマ・フィス、アレクサンドル/デュランティ、エドモン/フランス、アナトール/ブールジェ、ポール/マラルメ、ステファヌ/ミルボー、オクターヴ/ユレ、ジュール/ル・ブロン、モーリス/ロニー、ジョゼフ゠アンリ
6 思想家と科学者
ショーペンハウアー、アルトゥル/ダーウィン、チャールズ/デシャネル、エミール/テーヌ、イポリット/トゥールーズ、エドゥアール/ベルナール、クロード/ミシュレ、ジュール/リトレ、エミール/リュカ、プロスペル
7 芸術家
ヴァーグナー、リヒァルト/オッフェンバック、ジャック/クールベ、ギュスターヴ/ジュルダン、フランツ/セザンヌ、ポール/バジール、フレデリック/ビュスナック、ウィリアム/ファンタン゠ラトゥール、アンリ/ブリュノ、アルフレッド/マネ、エドゥアール/モネ、クロード/ロダン、オーギュスト
8 ゾラの批判者 バルベー・ドールヴィイ、ジュール/ブリュンティエール、フェルディナン/ルメートル、ジュール/ユルバック、ルイ
9 出版人
アシェット、ルイ/シャルパンティエ、ジョルジュ/ファスケル、ウジェーヌ/ラクロワ、アルベール
10 外国の作家、ジャーナリスト
ヴァン・サンテン・コルフ、ジャック/ヴィゼテリー、アーネスト/ヴィゼテリー、ヘンリー/ヴェルガ、ジョヴァンニ/スタシュレーヴィチ、ミハイル/ストリンドベリ、アウグスト/ツルゲーネフ、イヴァン/ムア、ジョージ/ルモニエ、カミーユ
11 ドレフュス事件関連
クレマンソー、ジョルジュ/ドレフュス、アルフレッド/ピカール、ジョルジュ/ベルナール゠ラザール/ラボリ、フェルナン
12 歴史上の人物
オスマン、ジョルジュ゠ウジェーヌ/ガンベッタ、レオン/ティエール、アドルフ/ナポレオン三世/フォール、フェリックス
13 ゾラと縁の深い町
エクス/ボルドー/メダン/パリ/レスタック/ルルド/ロワイヤン
Ⅴ ゾラと日本
明治期の日本人はゾラをどう見たか/翻案・翻訳の歴史/ゾラ的小説の出現/花袋以後/中村光夫の『風俗小説論』(1950)/ゾラをとおして見る日本の自然主義/自然主義の射程/現代日本におけるゾラ研究
ゾラ略年譜(1840-1902)/編者あとがき/文献リスト
関連情報
本書は、ゾラの作家活動の全体を俯瞰することを目的にした文学事典である。
Ⅰ「作品紹介」では、ゾラの大部分の著作の内容を紹介し、その意義と価値を記述する。
Ⅱ「作家活動とそのテーマ」は、第一に人間ゾラの諸側面、第二にゾラの創作方法、主要なテーマ、作中人物の類型を叙述した。
Ⅲ「ゾラの全体性――芸術・社会・歴史・科学」は、ゾラと同時代のかかわりを問いかける。
Ⅳ「人物/地名事典」は、家族、友人、文学的な同志、あるいは論敵、先輩作家、同時代の作家、交流をもった出版人、ドレフュス事件関連の人物、さらにはゾラを敬愛し、海外諸国でゾラ作品の普及に尽力した外国の作家・ジャーナリストを取り上げる。
Ⅴ「ゾラと日本」では、明治以来、日本の作家と批評家がゾラと自然主義文学をどのように理解し、受容してきたかをたどる。
(「序」より)
Ⅰ「作品紹介」では、ゾラの大部分の著作の内容を紹介し、その意義と価値を記述する。
Ⅱ「作家活動とそのテーマ」は、第一に人間ゾラの諸側面、第二にゾラの創作方法、主要なテーマ、作中人物の類型を叙述した。
Ⅲ「ゾラの全体性――芸術・社会・歴史・科学」は、ゾラと同時代のかかわりを問いかける。
Ⅳ「人物/地名事典」は、家族、友人、文学的な同志、あるいは論敵、先輩作家、同時代の作家、交流をもった出版人、ドレフュス事件関連の人物、さらにはゾラを敬愛し、海外諸国でゾラ作品の普及に尽力した外国の作家・ジャーナリストを取り上げる。
Ⅴ「ゾラと日本」では、明治以来、日本の作家と批評家がゾラと自然主義文学をどのように理解し、受容してきたかをたどる。
(「序」より)
編者紹介
●小倉孝誠(おぐら・こうせい)
1956年生。慶應義塾大学教授。専門は近代フランスの文学と文化史。1987年、パリ第4大学文学博士。1988年、東京大学大学院博士課程中退。
著書に『身体の文化史』『愛の情景』(中央公論新社)、『犯罪者の自伝を読む』(平凡社)、『革命と反動の図像学』『ゾラと近代フランス』(白水社)、『歴史をどう語るか』(法政大学出版局)他。訳書に、コルバン『音の風景』『風景と人間』『空と海』『草のみずみずしさ』(共訳、以上藤原書店)、フローベール『紋切型辞典』(岩波文庫)他。監訳書に、コルバン他監修『身体の歴史』(全3巻、日本翻訳出版文化賞受賞)『男らしさの歴史』(全3巻)『感情の歴史』(全3巻、以上藤原書店)他。
◆エミール・ゾラ Émile Zola(1840-1902)
1840年、パリに生まれる。フランスの作家・批評家。22歳ごろから小説や評論を書き始め、美術批評の筆も執り、マネを擁護した。1862年、アシェット書店広報部に就職するが、1866年に退職。1864年に短編集『ニノンへのコント』を出版、1865年に処女長編『クロードの告白』を出版。1870年、アレクサンドリーヌ・ムレと結婚する。1871年、ライフワークたる『ルーゴン・マッカール叢書』第1巻『ルーゴン家の繁栄』を出す。その後『居酒屋』、『ジェルミナール』を経て1893年、『パスカル博士』をもって『ルーゴン・マッカール叢書』は完結。また自然主義文学の総帥として論陣を張り、『実験小説論』(1880年)を書いた。1888年、女中ジャンヌ・ロズロとの関係が生じ、その後2児をもうける。1891年には文芸家協会会長に選出される。1897年暮れからドレフュス事件においてドレフュスを擁護、1898年1月、「私は告発する!」という公開状を発表。そのため起訴され、同年7月イギリスに亡命。翌年6月に帰国、空想社会主義的な『豊穣』『労働』などを書いたが、1902年9月29日、ガス中毒により急死。葬儀では作家アナトール・フランスが、「人類の良心を体現した」とゾラを讃えた。遺骸は1908年にパンテオン廟に移された。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1956年生。慶應義塾大学教授。専門は近代フランスの文学と文化史。1987年、パリ第4大学文学博士。1988年、東京大学大学院博士課程中退。
著書に『身体の文化史』『愛の情景』(中央公論新社)、『犯罪者の自伝を読む』(平凡社)、『革命と反動の図像学』『ゾラと近代フランス』(白水社)、『歴史をどう語るか』(法政大学出版局)他。訳書に、コルバン『音の風景』『風景と人間』『空と海』『草のみずみずしさ』(共訳、以上藤原書店)、フローベール『紋切型辞典』(岩波文庫)他。監訳書に、コルバン他監修『身体の歴史』(全3巻、日本翻訳出版文化賞受賞)『男らしさの歴史』(全3巻)『感情の歴史』(全3巻、以上藤原書店)他。
◆エミール・ゾラ Émile Zola(1840-1902)
1840年、パリに生まれる。フランスの作家・批評家。22歳ごろから小説や評論を書き始め、美術批評の筆も執り、マネを擁護した。1862年、アシェット書店広報部に就職するが、1866年に退職。1864年に短編集『ニノンへのコント』を出版、1865年に処女長編『クロードの告白』を出版。1870年、アレクサンドリーヌ・ムレと結婚する。1871年、ライフワークたる『ルーゴン・マッカール叢書』第1巻『ルーゴン家の繁栄』を出す。その後『居酒屋』、『ジェルミナール』を経て1893年、『パスカル博士』をもって『ルーゴン・マッカール叢書』は完結。また自然主義文学の総帥として論陣を張り、『実験小説論』(1880年)を書いた。1888年、女中ジャンヌ・ロズロとの関係が生じ、その後2児をもうける。1891年には文芸家協会会長に選出される。1897年暮れからドレフュス事件においてドレフュスを擁護、1898年1月、「私は告発する!」という公開状を発表。そのため起訴され、同年7月イギリスに亡命。翌年6月に帰国、空想社会主義的な『豊穣』『労働』などを書いたが、1902年9月29日、ガス中毒により急死。葬儀では作家アナトール・フランスが、「人類の良心を体現した」とゾラを讃えた。遺骸は1908年にパンテオン廟に移された。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです