- 内山章子 著
- 四六上製 240頁
ISBN-13: 9784865781816
刊行日: 2018/7
稀有な一族を「黒子」として見送ってきた九十年の半生。
父、鶴見祐輔(政治家、作家)
母、愛子(後藤新平長女)
姉、鶴見和子(社会学者)
兄、鶴見俊輔(哲学者)
夫、内山尚三(法学者) ……
稀有な一族を「黒子」として見送ってきた九十年の半生。
目次
はじめに
Ⅰ 昭和の子――私の戦争体験
もの心づいた頃
「あなたはほかの子と違うの」
優しい父、一途な母
父の後ろ姿
私の戦争体験について
暮らしの中の公職追放
父の『成城だより』を読み直して
Ⅱ 看取りの人生
1 母を想う
母の看取り
母の日によせて
母の墓前で心ゆくまで泣く
〈幕間〉 愛する一人息子を失って
2 父に学ぶ
病床の十四年間
父の旅立ち
3 弟のこと
直輔の人生の片影
4 夫を送る
「お子さん方をお呼び下さい」
白紙の遺言状
5 姉の旅立ち
女書生の歌
姉の最後の日々
姉・鶴見和子の病床日誌(2006年5月31日―7月31日)
神島の海に灰を流さむ――姉の散骨
6 兄への挽歌
兄との遊び
そっと現れ、支えてくれる兄
本喰い虫の兄
二人ぼっち
あとがき
系図(祖父・後藤新平、母・愛子関連/鶴見家、父・祐輔関連)
本書関連年表(1885-2015)
関連情報
私が生まれたとき、父、鶴見祐輔はちょうど衆議院議員に初当選した年で、私は激動の時代の政治家の家に生まれた。母、愛子は後藤新平の長女で、私の幼いときに過ごした家も後藤邸の敷地のなかにあったが、後藤新平は私が一歳足らずのときに亡くなっているので、記憶には無い。
姉の和子は10歳違い、兄の俊輔も6歳違いと歳が離れていて、特に姉とはいっしょに遊ぶことは無かった。私が10歳を過ぎるころには、姉も兄もアメリカに留学していて、それはこの時代には珍しいことだった。
その家で次女として育った私は、家族なのに、どこか「違う人たち」と暮らしているようだった。
今考えると、「看取り」を書き記すことは、リベラルな家の「黒子」として育った自分の、導かれた運命だったのではないかと思う。
(本書より)
姉の和子は10歳違い、兄の俊輔も6歳違いと歳が離れていて、特に姉とはいっしょに遊ぶことは無かった。私が10歳を過ぎるころには、姉も兄もアメリカに留学していて、それはこの時代には珍しいことだった。
その家で次女として育った私は、家族なのに、どこか「違う人たち」と暮らしているようだった。
今考えると、「看取り」を書き記すことは、リベラルな家の「黒子」として育った自分の、導かれた運命だったのではないかと思う。
(本書より)
著者紹介
●内山章子(うちやま・あやこ)
1928年東京生まれ。1948年、東京女子大学専門部歴史科卒業。2004年、京都造形芸術大学入学。2012年、同卒業。俳句結社「玉藻」同人。
私家版の著書・編著に、『ぼくの本』(1969年)『鶴見和子 病床日誌』(2007年)『雪中花』(2008年)『延令草』(2015年)。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1928年東京生まれ。1948年、東京女子大学専門部歴史科卒業。2004年、京都造形芸術大学入学。2012年、同卒業。俳句結社「玉藻」同人。
私家版の著書・編著に、『ぼくの本』(1969年)『鶴見和子 病床日誌』(2007年)『雪中花』(2008年)『延令草』(2015年)。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです