- 鶴見祐輔 著
- 一海知義 校訂
- 四六変上製 672頁
ISBN-13: 9784894344457
刊行日: 2005/4
後藤新平の全生涯を描いた金字塔!
医療・交通・通信・都市計画等の内政から、対ユーラシア及び新大陸の世界政策まで、百年先を見据えた先駆的な構想を次々に打ち出し、同時代人の度肝を抜いた男、後藤新平。その知られざる業績の全貌を初めて明らかにする。
波乱万丈の生涯を、膨大な一次資料を駆使して描ききった評伝の金字塔。完全に新漢字・現代仮名遣いに改め、資料には釈文を付した決定版。
目次
第三巻 『台湾時代 1898-1906 』より続く
第二章 満鉄総裁 1906~08年
1 就任の経緯
2 大陸経営の陣容
3 満鉄十年計画
4 満鉄の礎石を置く
5 文装的武備
6 対清政策
7 厳島夜話
8 法庫門鉄道問題
9 訪 露
10 中央政府との折衝
関連情報
■日露戦後のポーツマス条約で、日本は東清鉄道や撫順炭鉱など満洲(清朝東三省)の権益を獲得、その運用のため南満洲鉄道株式会社(満鉄)を設立する。1906年、その初代総裁に任命されたのが後藤新平であった。しかし満洲の地は、日本の外務省や関東州都督府、満鉄と、清国の東三省総督や巡撫とがせめぎあい、ロシアの影響も色濃く残り、列強の強い注視にさらされていた。
■国内外の勢力が拮抗するなか、後藤は、東亜経済調査局、中央試験所、そして世界水準のシンクタンクとされる満鉄調査部を設立し、総合的調査に根ざした満洲経営を遂行する。外債政策により捻出した経営資金を元手に、優秀な「午前八時の人間」を抜擢、副総裁中村是公以下八人の理事を縦横に使い、満鉄軌道の広軌化を一年で実現、鉄道駅を中心とした長春などの広大な都市群やヤマト・ホテルの建設、巨大な大連築港、旅順工科学堂・南満医学堂といった教育機関の創設など、八面六臂の活躍をする。
■その中でも、後藤の眼は常に世界情勢に向けられていた。「文装的武備」を旗印に満洲ひいては清国・アジアの安定を模索する一方、勃興著しい新大陸アメリカを、ユーラシアの連繋により牽制する「新旧大陸対峙論」を打ち出す。その実現への熱意は、当時韓国統監であった元勲伊藤博文を動かすことになる。1909年10月、ロシア蔵相との会談にハルビンを訪れた伊藤は、会談を終えた後、凶弾に倒れるのであった。
■国内外の勢力が拮抗するなか、後藤は、東亜経済調査局、中央試験所、そして世界水準のシンクタンクとされる満鉄調査部を設立し、総合的調査に根ざした満洲経営を遂行する。外債政策により捻出した経営資金を元手に、優秀な「午前八時の人間」を抜擢、副総裁中村是公以下八人の理事を縦横に使い、満鉄軌道の広軌化を一年で実現、鉄道駅を中心とした長春などの広大な都市群やヤマト・ホテルの建設、巨大な大連築港、旅順工科学堂・南満医学堂といった教育機関の創設など、八面六臂の活躍をする。
■その中でも、後藤の眼は常に世界情勢に向けられていた。「文装的武備」を旗印に満洲ひいては清国・アジアの安定を模索する一方、勃興著しい新大陸アメリカを、ユーラシアの連繋により牽制する「新旧大陸対峙論」を打ち出す。その実現への熱意は、当時韓国統監であった元勲伊藤博文を動かすことになる。1909年10月、ロシア蔵相との会談にハルビンを訪れた伊藤は、会談を終えた後、凶弾に倒れるのであった。