- 鶴見祐輔 著
- 一海知義 校訂
- 四六変上製 864頁
ISBN-13: 9784894344358
刊行日: 2005/2
後藤新平の全生涯を描いた金字塔!
医療・交通・通信・都市計画等の内政から、対ユーラシア及び新大陸の世界政策まで、百年先を見据えた先駆的な構想を次々に打ち出し、同時代人の度肝を抜いた男、後藤新平。その知られざる業績の全貌を初めて明らかにする。
波乱万丈の生涯を、膨大な一次資料を駆使して描ききった評伝の金字塔。完全に新漢字・現代仮名遣いに改め、資料には釈文を付した決定版。
目次
第一章 台湾民政長官 1898~1906年
1 新領土に入る
2 土匪招降策
3 台湾事業公債
4 三大事業と三大専売法
5 新領土の産業革命
6 文化的台湾の建設
7 対岸経営
8 外 遊
9 夫と妻
10 南より北へ
第四巻 『満鉄時代 1906-08』へ続く
関連情報
■総督児玉源太郎に抜擢された後藤新平は、1898年、民政局長として台湾に上陸した(のち民政長官)。炎熱と熱帯病の貧しい地、複雑な人種と種々の異言語、土匪の横行する“水滸伝”的世界において、後藤の“無方針の方針”による統治とはいかなるものだったのか。
■まず、総督の絶大な信頼の下に、総督府のリストラと組織改革を断行、後藤は若い人材を抜擢した。そして財政を緊縮しようとする本国との悪戦苦闘の末、台湾事業公債発行と台湾銀行創設に成功、その資金により土地調査、縦貫鉄道敷設、築港、さらに阿片・樟脳・食塩の専売事業を立ち上げる。その間、匪賊を投降させて鉄道・道路・郵便事業に従事させ、日本軍部との葛藤のなか、水力発電の確保、市街地整備、上下水道・衛生制度・学制の確立など、今日に通じる台湾の近代化を強力に推し進めた。
■台湾は、対岸の清国領土福州・厦門の経済圏に含まれたが、そこは列強の跳梁する地域、したがって台湾統治はすなわち対岸政策であった。義和団の乱の波及もあって一時は台湾から陸兵派遣寸前という事件もあったが、後藤は樟脳事業や鉄道敷設という経済中心の対岸政策を進めた。
■土匪問題が一段落して、新渡戸稲造を伴った六ヵ月間の外遊の後、日露戦争を経て、満洲が新たな新天地として浮び上がった。そして、日露戦争で参謀次長として活躍した盟友児玉大将の思いがけない急逝が、後藤を満洲の荒野へと押し出すことになる。
■まず、総督の絶大な信頼の下に、総督府のリストラと組織改革を断行、後藤は若い人材を抜擢した。そして財政を緊縮しようとする本国との悪戦苦闘の末、台湾事業公債発行と台湾銀行創設に成功、その資金により土地調査、縦貫鉄道敷設、築港、さらに阿片・樟脳・食塩の専売事業を立ち上げる。その間、匪賊を投降させて鉄道・道路・郵便事業に従事させ、日本軍部との葛藤のなか、水力発電の確保、市街地整備、上下水道・衛生制度・学制の確立など、今日に通じる台湾の近代化を強力に推し進めた。
■台湾は、対岸の清国領土福州・厦門の経済圏に含まれたが、そこは列強の跳梁する地域、したがって台湾統治はすなわち対岸政策であった。義和団の乱の波及もあって一時は台湾から陸兵派遣寸前という事件もあったが、後藤は樟脳事業や鉄道敷設という経済中心の対岸政策を進めた。
■土匪問題が一段落して、新渡戸稲造を伴った六ヵ月間の外遊の後、日露戦争を経て、満洲が新たな新天地として浮び上がった。そして、日露戦争で参謀次長として活躍した盟友児玉大将の思いがけない急逝が、後藤を満洲の荒野へと押し出すことになる。