エマニュエル・トッドの冒険

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  • 石崎晴己 著
  • A5並製 616頁 カラー口絵16頁
    ISBN-13: 9784865783643
    刊行日: 2022/11

トッド日本紹介の第一人者による、その思想への最良の手引き!

家族人類学・歴史人口学の研究成果から、ソ連崩壊、アメリカ衰退、アラブの春、移民問題など、現代世界について数々の予言をしてきたE・トッド。
その主要著作『最後の転落』『新ヨーロッパ大全』『帝国以後』『家族システムの起源』等の邦訳を手がけてきたトッド日本紹介の第一人者が、彼の波乱に満ちた挑戦と冒険の全貌を読み解く。
最新作『われわれは今どこにいるのか?』の詳細な要約・紹介も収録!


目次

〈プロローグ〉二つのトッド――トッド理論の展開と変遷

第Ⅰ部 トッドⅠ――共時態の設定
 第1章 トッド理論の形成
 第2章 家族システム一覧
 第3章 トッド理論の展開Ⅰ――西ヨーロッパ史のアウトライン
 第4章 トッド理論の展開Ⅱ――近代イデオロギーの出現とその消長
 第5章 民主主義の暗い起源
 第6章 移行期危機と識字率ディストピア
 第7章 二つのフランスか? 多数のフランスか?
 第8章 方法論的反省――家族的価値の伝達はいかになされるか

第Ⅱ部 トッドⅡ(『家族システムの起源』)――通時態への挑戦
 第1章 転 換
 第2章 共同体家族の謎
 第3章 総論、もしくは「プロレゴメナ」
 第4章 基本モデル――中国とその周縁部としてのユーラシア・ステップ
 第5章 各論1 各地域の共同体家族の形成
 第6章 各論2 母系制の問題
 第7章 ヨーロッパの直系家族的概念空間(絶対核家族の出現)
 第8章 婚姻制度 イトコ婚
 第9章 構造主義批判、レヴィ=ストロース批判
 第10章 日 本

第Ⅲ部 『われわれは今どこにいるのか』を読む

あとがき
エマニュエル・トッド年表
トッド著作一覧
トッド関連の日本での刊行書
参考文献
図表一覧
人名索引

関連情報

本書は、トッドの波乱に満ちた「冒険」を跡付けようとするものである。
第Ⅰ部は、トッドⅠの形成の跡を辿ったのち、その展開を、主に『新ヨーロッパ大全』の主要部の概観によって辿り、併せて『移民の運命』など他の著作からも重要部分をピックアップする。第Ⅱ部は、『家族システムの起源』により、トッドⅡの全貌を検討する。
トッドⅠは、家族システムという不動の土台、こう言ってよければ、下部構造の上に歴史が展開・進行するものであったが、トッドⅡでは、『家族システムの起源』で解明された家族システムの変遷の歴史を土台とし、下部構造として、世界史はその上に展開・進行することになるだろう。このトッドⅡの「上部構造」、ないし下部構造と上部構造を総合的に叙述するのが、2017年に刊行された大作Où en sommes-nous ?(『われわれは今どこにいるのか』)であると言えよう。二つのトッドの「総合」であるから、これをトッドⅢと呼ぶこともできよう。
(本書より)

著者紹介

●石崎晴己(いしざき・はるみ)
1940年生まれ。青山学院大学名誉教授。1969年早稲田大学大学院博士課程単位取得退学。専攻フランス文学・思想。
訳書に、サルトル『戦中日記――奇妙な戦争』(共訳、人文書院、1985)、『敗走と捕虜のサルトル』(2018)、ボスケッティ『知識人の覇権』(新評論、1987)、コーエン=ソラル『サルトル』(白水社、2006)『サルトル伝』上・下(2015)、レヴィ『サルトルの世紀』(監訳、2005)、ブルデュー『構造と実践』(1991)『ホモ・アカデミクス』(共訳、1997)、カレール=ダンコース『ソ連邦の歴史 Ⅰレーニン――革命と権力』(新評論、1985)『レーニンとは何だったか』(共訳、2006)、トッド『移民の運命』(共訳、1999)『帝国以後』(2003)『文明の接近』(クルバージュとの共著、2008)『デモクラシー以後』(2009)『アラブ革命はなぜ起きたか』(2011)『最後の転落』(2013)『不均衡という病』(ル・ブラーズとの共著、2014)『家族システムの起源 Ⅰユーラシア』上・下(監訳、2016)など多数。編著書に、『世界像革命』(2001)『サルトル 21世紀の思想家』(共編、思潮社、2007)『21世紀の知識人』(共編、2009)『トッド 自身を語る』(2015)など。著書に、『ある少年H』(吉田書店、2019)(出版社名が明示されていないものは、いずれも藤原書店)。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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