- アラン・コルバン 著
- 築山和也 訳
- 四六上製 272頁・カラー口絵8頁
ISBN-13: 9784865783971
刊行日: 2023/9
「地球」をめぐる想像力の歴史
深海、極地、高山、火山、氷河、高空、そして地下……地球上で、人間が到達できず、知ることのできない領域は、夢と恐怖と想像力の強烈な源泉となってきた。過去の人間が「知らなかったこと」を見極めることで、その感性と世界観の再現に挑む、「感性の歴史」の第一人者によるスリリングな意欲作。
目次
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序 包括的な歴史は、無知の歴史を前提とする
第Ⅰ部 啓蒙時代における地球知識の乏しさ
第一章 リスボンの「大惨事」(1755年)
第二章 地球の年齢
第三章 地球の内部構造を思い描く
第四章 極地に関する無知
第五章 深海の解きがたい謎
第六章 山の発見
第七章 理解できない氷河
第八章 火山の魅惑
第九章 恐るべき大気現象
第十章 上空制覇の始まり
まとめ 啓蒙時代末期における無知
第Ⅱ部 ゆっくりと減少した無知(1800-1850年)
第一章 氷河についての理解
第二章 地質学の誕生
第三章 火山と「乾いた霧」の謎
第四章 深海と知られざるものの恐怖
第五章 雲の解読とビューフォート風力階級
第六章 謎が解けない極地
まとめ 1860年代初頭における無知
第Ⅲ部 地球と無知の減少(1860-1900年)
第一章 深海調査
第二章 大気力学の確立
第三章 空中旅行、対流圏と成層圏
第四章 火山調査と地震学の確立
第五章 氷の帝国を測定する
第六章 水流のさまざまな謎の解明に向けて――河川学、水理学、洞穴学
第七章 地表の新たな解読
第八章 北極に不凍海は存在したのか?
第九章 地球知識に関する大衆化の遅さ
まとめ 二十世紀初頭における無知の大きさ
謝辞
訳者あとがき/原注/人名索引/地名索引
序 包括的な歴史は、無知の歴史を前提とする
第Ⅰ部 啓蒙時代における地球知識の乏しさ
第一章 リスボンの「大惨事」(1755年)
第二章 地球の年齢
第三章 地球の内部構造を思い描く
第四章 極地に関する無知
第五章 深海の解きがたい謎
第六章 山の発見
第七章 理解できない氷河
第八章 火山の魅惑
第九章 恐るべき大気現象
第十章 上空制覇の始まり
まとめ 啓蒙時代末期における無知
第Ⅱ部 ゆっくりと減少した無知(1800-1850年)
第一章 氷河についての理解
第二章 地質学の誕生
第三章 火山と「乾いた霧」の謎
第四章 深海と知られざるものの恐怖
第五章 雲の解読とビューフォート風力階級
第六章 謎が解けない極地
まとめ 1860年代初頭における無知
第Ⅲ部 地球と無知の減少(1860-1900年)
第一章 深海調査
第二章 大気力学の確立
第三章 空中旅行、対流圏と成層圏
第四章 火山調査と地震学の確立
第五章 氷の帝国を測定する
第六章 水流のさまざまな謎の解明に向けて――河川学、水理学、洞穴学
第七章 地表の新たな解読
第八章 北極に不凍海は存在したのか?
第九章 地球知識に関する大衆化の遅さ
まとめ 二十世紀初頭における無知の大きさ
謝辞
訳者あとがき/原注/人名索引/地名索引
関連情報
知識不足を探知し、無知を徹底調査して、その度合いを測ることは、過去の人間の理解を目指すあらゆる歴史家にとって前提として重要である。知識に社会的格差があるということについても同様だ。誰も目を向けていなかったことにせよ、それを知り得る状況になかったことにせよ、人間が何を知らなかったのかを見極めなければ人間を知ることなど不可能である。
しかしながら、あらゆる無知の歴史を語ることは不可能であり、無知を全体性として取り扱うことは無理な相談だろう。知らなかったことの輪郭線を浮かび上がらせるには、一つの領域を選んで、そこにある知識の不足や乏しさを調査することが必要なのだ。
本書ではただひたすら地球に目を向けてみよう。地球がもつ謎の消失や継続に、また地球が様々なかたちで掻き立てた恐怖や驚嘆の激しさや、場合によってはその衰退に目を向けてみよう。それは結局のところ、科学や発見の歴史を無知の消失や無知に由来する想像や夢想の消失にからめて解き明かすことになるだろう。(本書より)
しかしながら、あらゆる無知の歴史を語ることは不可能であり、無知を全体性として取り扱うことは無理な相談だろう。知らなかったことの輪郭線を浮かび上がらせるには、一つの領域を選んで、そこにある知識の不足や乏しさを調査することが必要なのだ。
本書ではただひたすら地球に目を向けてみよう。地球がもつ謎の消失や継続に、また地球が様々なかたちで掻き立てた恐怖や驚嘆の激しさや、場合によってはその衰退に目を向けてみよう。それは結局のところ、科学や発見の歴史を無知の消失や無知に由来する想像や夢想の消失にからめて解き明かすことになるだろう。(本書より)
著者紹介
●アラン・コルバン(Alain Corbin)
1936年フランス・オルヌ県生。カーン大学卒業後、歴史の教授資格取得(1959年)。リモージュのリセで教えた後、トゥールのフランソワ・ラブレー大学教授として現代史を担当(1972-1986)。1987年よりパリ第1大学(パンテオン=ソルボンヌ)教授として、モーリス・アギュロンの跡を継いで19世紀史の講座を担当。現在は同大学名誉教授。
“感性の歴史家”としてフランスのみならず西欧世界の中で知られており、近年は『身体の歴史』(全3巻、2005年、邦訳2010年)『男らしさの歴史』(全3巻、2011年、邦訳2016-17年)『感情の歴史』(全3巻、2016-17年、邦訳2020-22年)の3大シリーズ企画の監修者も務め、多くの後続世代の歴史学者たちをまとめる存在としても活躍している。
著書に『娼婦』(1978年、邦訳1991年・新版2010年)『においの歴史』(1982年、邦訳1990年)『浜辺の誕生』(1988年、邦訳1992年)『音の風景』(1994年、邦訳1997年)『記録を残さなかった男の歴史』(1998年、邦訳1999年)『快楽の歴史』(2008年、邦訳2011年)『知識欲の誕生』(2011年、邦訳2014年)『処女崇拝の系譜』(2014年、邦訳2018年)『草のみずみずしさ』(2018年、邦訳2021年)『雨、太陽、風』(2013年、邦訳2022年)『木陰の歴史』(2013年、邦訳2022年)など。(邦訳はいずれも藤原書店)
【訳者】
●築山和也(つきやま・かずや)
1966年、静岡県生まれ。ナント大学文学博士。1999年、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、慶應義塾大学文学部教授。専門は19世紀フランス文学。訳書に、アラン・コルバン『知識欲の誕生――ある小さな村の講演会 1895-96』(藤原書店刊)、ミシェル・ヴィノック『知識人の時代――バレス/ジッド/サルトル』(共訳、紀伊國屋書店刊)、A・コルバン/J-J・クルティーヌ/G・ヴィガレロ監修『身体の歴史 Ⅱ』(共訳、藤原書店刊)、A・コルバン/J-J・クルティーヌ/G・ヴィガレロ監修『感情の歴史 Ⅱ』(共訳、藤原書店刊)がある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1936年フランス・オルヌ県生。カーン大学卒業後、歴史の教授資格取得(1959年)。リモージュのリセで教えた後、トゥールのフランソワ・ラブレー大学教授として現代史を担当(1972-1986)。1987年よりパリ第1大学(パンテオン=ソルボンヌ)教授として、モーリス・アギュロンの跡を継いで19世紀史の講座を担当。現在は同大学名誉教授。
“感性の歴史家”としてフランスのみならず西欧世界の中で知られており、近年は『身体の歴史』(全3巻、2005年、邦訳2010年)『男らしさの歴史』(全3巻、2011年、邦訳2016-17年)『感情の歴史』(全3巻、2016-17年、邦訳2020-22年)の3大シリーズ企画の監修者も務め、多くの後続世代の歴史学者たちをまとめる存在としても活躍している。
著書に『娼婦』(1978年、邦訳1991年・新版2010年)『においの歴史』(1982年、邦訳1990年)『浜辺の誕生』(1988年、邦訳1992年)『音の風景』(1994年、邦訳1997年)『記録を残さなかった男の歴史』(1998年、邦訳1999年)『快楽の歴史』(2008年、邦訳2011年)『知識欲の誕生』(2011年、邦訳2014年)『処女崇拝の系譜』(2014年、邦訳2018年)『草のみずみずしさ』(2018年、邦訳2021年)『雨、太陽、風』(2013年、邦訳2022年)『木陰の歴史』(2013年、邦訳2022年)など。(邦訳はいずれも藤原書店)
【訳者】
●築山和也(つきやま・かずや)
1966年、静岡県生まれ。ナント大学文学博士。1999年、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、慶應義塾大学文学部教授。専門は19世紀フランス文学。訳書に、アラン・コルバン『知識欲の誕生――ある小さな村の講演会 1895-96』(藤原書店刊)、ミシェル・ヴィノック『知識人の時代――バレス/ジッド/サルトル』(共訳、紀伊國屋書店刊)、A・コルバン/J-J・クルティーヌ/G・ヴィガレロ監修『身体の歴史 Ⅱ』(共訳、藤原書店刊)、A・コルバン/J-J・クルティーヌ/G・ヴィガレロ監修『感情の歴史 Ⅱ』(共訳、藤原書店刊)がある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです